宝塚歌劇『ハプスブルクの宝剣』

 大阪出身の方が、男性ながら宝塚歌劇http://kageki.hankyu.co.jp/)に詳しいということだったので、案内してもらいました。


 演目は『ハプスブルクの宝剣 ―魂に宿る光―』と『BOLERO』で、星組の公演。宝塚歌劇は独特の雰囲気があって何となく敷居が高く、TVなどで観たことはあったのですが、生で観るのは初めてでした。TVで観るよりも、舞台は意外と狭いと感じました。


 宝塚歌劇というと華やかな歌と踊りで構成され、ラインダンスというイメージだったのですが、『ハプスブルクの宝剣』は重厚感があり、硬派なイメージでした。ユダヤ教を扱ったミュージカルで、運命に翻弄される主人公の生涯が描かれています。


 ただ、ユダヤ教のことはあまり馴染みがなく、ミュージカルではいまひとつわかりづらかったです。原作の小説ではおそらく詳しいことまで説明されているのでしょうが、舞台ではあまり細かい説明ができなかったのだろうと思います。


 また、登場人物には年寄りのラビなどもいるわけですが、青年の役を女性が演じるのはそれなりにうまく表現できていましたが、男性の老人の役を女性が演じていたのは、かなり違和感がありました。


 途中で休憩があるのかと思いきや、前半のミュージカルが終わるまで休憩はありませんでした。何でもそういう構成となっているのだそうで、前半にストーリー性の高いものがあり、後半はショーが中心なんだそうです。


 後半の『BOLERO』は、有名なボレロの曲を中心に、その他の曲や詩の朗読や踊りなどで構成されていました。どこかへ行ってしまった女性を求め、彼女に恋いこがれる男性が世界各地を捜して回るというストーリーで、趣向を変えたいくつものショーで構成されていました。


 二人のロマンチックな踊りあり、宝塚らしい、タキシードにダチョウの羽根を背負った男役の歌や踊りあり、ラインダンスあり、多くのダンサーが光る階段を踊りながら降りてくるシーンありと、80年代の温泉街で繰り広げられていそうな印象の、華やかできらびやかなショーでした。むしろ後半のショーの方が前半のミュージカルよりも宝塚らしさが出ていて楽しめました。


 生で観てみて、宝塚歌劇というものは男装の麗人*1を鑑賞するためのものなんだなぁと、あらためて思いました。女性しかいないんだったらもっと女性が登場する演目を選べば良さそうなものを、あえて男性が多く登場する演目を選んで公演しているように思えます。おそらく女性の理想により近い、美しい虚構の男性像を楽しむのが宝塚歌劇の醍醐味ではないかと感じました。

*1:もう死語っぽいですが、時代の雰囲気がこの言葉に込められています