『バトルスター・ギャラクティカ』

 スーパードラマTVで放映されている『バトルスター・ギャラクティカ』(スーパー!ドラマTV 海外ドラマ:バトルスター・ギャラクティカ)が面白い。最初見た時は、暗いし、画面が手ぶれして非常に見づらいという印象が強かった。しかし見続けるうちに、重厚な人間ドラマと映像の美しさに引き込まれた。非常に優れたSFドラマだと思う。


 このドラマは1978年にアメリカで放映された『宇宙空母ギャラクティカ』をリメイクしたもの。旧作の『宇宙空母ギャラクティカ』も所々見たが、今という時代の目で見ると、ずいぶん牧歌的に思える。サイロンに追われて船団を率いて旅を続けるというところは共通しているものの、すっかり別物と言えるだろう。


 本作も、機械生命体サイロンの攻撃を受けて逃走するという点では同じだが、もっと悲壮感が漂っている。人類は、自分たちが生み出した機械生命体サイロンと戦争をしていた。和平が結ばれて戦争は終わったかのように思われていたが、ある日それが破棄され、サイロンによる一斉攻撃が始まった。サイロン戦争の時代に現役空母として活躍したギャラクティカは、前線を退いて博物館に生まれ変わろうとしていた。そこに一斉攻撃が始まった。ネットワークを使わないアナログの設備だったのが幸いし、ギャラクティカは大量殺戮を免れた。合流できた民間船を率い、アダマ艦長は12コロニーを離れてサイロンから逃走する。目指すは伝説となっている地球。このドラマでは、人類はどこか遠い宇宙で発展し、中の一部族が新天地を求め地球に植民したという設定になっている。


 何といってもスターバックが魅力的。旧作では男性だったが、本作では女性に変えられた。けんかっ早くて腕っ節も強いエースパイロット。射撃の腕前も誰よりも優秀だし、定石とはかけ離れた無謀な作戦を考え出しては実行に移す。非常に男らしいくせに、好きな人のことではナイーブでかわいらしい。


 バルター博士も面白い。天才だが、女好きが高じるあまり人型サイロンに誘惑されて人類の滅亡に手を貸してしまった。それを必死に取り繕おうとする小心者ぶりがコミカルで面白い。


 さて、そのサイロンだが、旧作は人間が中に入った甲冑のような代物だったが、本作ではすっかりCGへと置き換わった。また、機械めかしたサイロンだけではなく、人型のサイロンも登場した。人間と見分けがつかないため誰を信用して良いのかわからず、それが船団の人々の疑心暗鬼を引き起こす。


 また、サイロンは再生する。死ぬと記憶が別の身体へと送り込まれて復活する。それにどうやら、異なる身体で同時に存在することもできるようだ。私としては、意識がコピーされることによるアイデンティティの問題に話が展開しないかなぁと期待はしているのだけれど、残念ながら今のところはそこまで踏み込もうとしていない。しかし、これ以外にもサイロンが神のことを語ったり、人間との間に子供を作ろうとしていたりと、興味深いネタが盛りだくさんだ。


 年始に『バトルスター・ギャラクティカ』はシーズン1と2が一挙放映された。まだ録画したものを観ていないのだが、シーズン2もいよいよ大詰めとなってきた。ブーマー役のグレイス・パークの来日記念イベントもあるらしい。