『放浪惑星』

あらすじ

地球の月の近くに忽然と出現した未知の惑星《放浪者》。刻々と変わる不気味な相貌を持つこの星は、巨大な重力で月を捕えて粉砕し、地球にも地震津波を引き起こす。だがやがて《放浪者》の宇宙船に拉致された地球人の前に明らかにされたのは…宇宙の体制に抵抗して警察星の追跡を受けながら超空間の海を永遠にさまよい続ける、この星の運命だった! ヒューゴー賞受賞巨編。

カバーより

 復刊フェア2001として再版されたもの。1964年度のヒューゴー賞受賞作品だそうだが、すっかり設定や表現が古くさくなっていて、今更読むには辛い。当時の時代背景を色濃く反映していて、アメリカとソ連が宇宙の開発競争を続けていたり、《放浪者》に住む知的種族達がヒッピーっぽかったりする。またその知的種族が超高度に発達した文明を持ちテレパシーを使って話をするという設定も、すっかり陳腐化してしまっている。他にも黒人差別があからさまに出てきたりと時代の流れを感じさせる。さすがに「乳当て」なる訳には笑ってしまった。