広島弁講座2
一口に広島弁と言っても、同じ広島でも実際には地域によって少しずつ言い方が異なります。ここで紹介しているのは私が生まれ育った地域で話されている広島弁なので、広島市内の方で話されている広島弁とは少し異なるかもしれません。
さて、先日の答えです。こうしてあらためて抜き出してみると、独特な言葉や言い回しは身体に関する言葉に多いような気がします。
- Q1. そべら
- 例文)指にそべらが立った。
- A1. 身体に刺さった木のささくれなどのトゲのこと
- 身体に刺さるまでは「そべら」とは言いません。だから、ささくれた板などを見て「気をつけんとそべらが立つよ」とは言いますが、「そべらだらけの板だ」などとは言いません。
- また、バラなどのトゲは「トゲ」のままで、「そべら」と使い分けます。
- 「そべらが刺さった」と言うこともありますが、どちらかというと「そべらが立った」と言うことの方が多いです。
- 地域によっては「そばり」・「すいばり」などとも言います。
- Q2. ひわる
- 例文)このサシはひわっとる。
- A2. 板などが曲がること
- 棚などが重さでたわんだり、水や陽にさらした板などが反ってしまったりする状態を表します。
- 例文の「サシ」とは、直定規(物差し)のことです。
- Q3. はしる
- 例文)歯がはしる。
- A3. 傷口などがしみて痛むこと
- 「しみる」という場合は「歯にしみる」ですが、「はしる」という場合は「歯がはしる」と「が」を使います。
- Q4. はぶてる
- 例文)そんなにはぶてたらいけんよ。
- A4. むくれる・拗ねる・不機嫌になる・ふてくされる・膨れっ面をする
- 日常で頻繁に使われる広島弁です。
- 「はぶ」とは、はぐきのことです。川の土手のことも「はぶ」と言います。あのような隆起した形状のものを「はぶ」と言うのだと思います。「はぶてる」も膨れている様子から「はぶ」が変化して「はぶてる」になったのではないかと私は勝手に推測していますが、関係ないかもしれません。
- Q5. すばれる
- 例文)ネギがすばれた。
- A5. しなびる しおれてしわしわになる
- Q6. きっぽ
- 例文)去年縫ったところが、きっぽになった。
- A6. 古い傷痕のこと
- 身体の傷痕限定です。
- かさぶたの段階では「きっぽ」とは言いません。かさぶたが取れて傷はすっかり治ったけれども、色が変わって残っている傷痕のことです。
- 意味はともかく、響きがかわいいです。
- Q7. めぐ
- 例文)そっと持たんと、めげるよ。
- A7. 壊す
- めぐ=壊す めいだ=壊した めげる=(自然に)壊れる めげた=(自然に)壊れた めがす=(意図的に)壊す めがした=(意図的に)壊した
- 気分が沈むという意味で「めげる」という言葉を使うことは、ほぼありません。
- Q8. いたしい
- 例文)今日の試験はいたしかったなぁ。
- A8. 難しい
- 反対語の「簡単・易しい」は「みやすい」。
- Q9. じゅんならん
- 例文)あの子はじゅんならん。
- A9. 意地が悪い、乱暴な、言うことを聞かない
- 子供に対してよく使われます。
- おそらく「じゅんならん」の「じゅん」は「純」または「順」で、「純(順)ならない(ではない)」から派生した言葉だと思いますが、「じゅんならん」で一つの単語のように使われています。
- Q10. かなぐる
- 例文)猫にかなぐられた。
- A10. ひっかく
- 「かぐる」とも言います。