『華氏451度』

 これも古典的名作SFの1つとして名高い。タイトルのこの温度は、紙が燃える時の温度だそうだ。焚書がテーマとなっていて、一風変わった隣人の女の子に触発された焚書官が、転向して人間らしさを取り戻す様子が描かれている。本好きの私としてはブラッドベリの主張に同調したい気持ちはあるが、彼の危惧した未来が一部では現実化してしまった今の視点で見ると、実際には多様化することで豊かになった面もあり、さすがに極端すぎる主張だったと思う。