『ヒューマン−人類−』

あらすじ

量子コンピュータの実験中の事故で、ネアンデルタールの物理学者ポンターは、クロマニヨンが進化した人類のいる並行宇宙へ転送されてしまった。なんとか無事に故郷の宇宙に戻ったポンターは、女性大使プラットとともにふたたび人類の宇宙へ旅立つ。双方の交流によって、文化や科学などに大いなる貢献がもたらされるはずだった。だが、人類の宇宙では思いもよらぬ罠がポンターたちを待ち受けていた……好評シリーズ第二弾

カバーより

 ソウヤーのストーリーテーリングのうまさが発揮された三部作。たいへん内容が盛り沢山で、展開が早くて飽きさせない。並行宇宙、極ジャンプ、宗教体験はなぜ起きるのか、遺伝子操作、異種族間ロマンス、ネアンデルタールの築く社会の様子、法廷ミステリ、レイプ犯追跡劇、世界的陰謀の阻止…と、ざっとあげてもたくさんの要素が盛り込まれている。が、全体を通して人間の男性の攻撃性についての批判が流れていて、ちょっと政治的主張が強すぎるように思える。また、ご都合主義的で問題が安易に解決しているところなども多々あり、突っ込みどころも満載だけれど、一気に読みたくなってしまうところはさすがと言える。