『遙かなる地平1 SFの殿堂』
- 著者:アーシュラ・K・ル・グィン、ジョー・ホールドマン、オースン・スコット・カード、デイヴィッド・ブリン、ロバート・シルヴァーバーグ、ナンシー・クレス
- 編者:ロバート・シルヴァーバーグ
- 訳者:小尾芙佐ほか
- 出版:早川書房
- ISBN:4150113254
- お気に入り度:★★★☆☆
ロバート・シルヴァーバーグが編集したSFアンソロジー。人気SFシリーズの続編・外伝が、全作書き下ろしで収録されている。彼はファンタジーの分野でも同様のアンソロジーを編んでいる。
収録作品は以下のとおり。
- 「古い音楽と女奴隷たち」:(ハイニッシュ・ユニバース/アーシュラ・K・ル・グィン作)
- 「もうひとつの戦い」:(終りなき戦い/ジョー・ホールドマン作)
- 「投資顧問」:(エンダー/オースン・スコット・カード作)
- 「誘惑」:(知性化宇宙/デイヴィッド・ブリン作)
- 「竜帝の姿がわかってきて」:(永遠なるローマ/ロバート・シルヴァーバーグ作)
- 「眠る犬」:(無眠人/ナンシー・クレス作)
この中で私が関連作品を読んだことがあるのは、カードの『エンダーのゲーム』とその姉妹作『エンダーズ・シャドウ』、ホールドマンの『終りなき戦い』の姉妹作『終りなき平和』だけだ。実際には『エンダーズ・シャドウ』はこの短編の後に書かれている。また『終りなき平和』は当初このアンソロジー用に書かれ始めたものだったが、長編になりそうだったので急遽アンソロジー用には別の話が書き上げられたのだそうだ。アンソロジーが新作の書かれるきっかけとなり、ファンにはうれしい話だろう。
こうしたアンソロジーの良さは、中・短編ばかりなので気軽に読みはじめられることだ。長いシリーズだと躊躇してしまうが、興味が持てるかどうかをまずこちらの外伝で読んでみて、面白そうなものを試すことができる。また、名作のファンにとっては主人公のその後の活躍などを読むことができる。また作者による序文が各作品についていて、各シリーズのおおまかなあらすじも楽しめる。ただし元の設定を知らないと、事情がよくわからないこともある。
読んでみて、ブリンの知性化シリーズを今度きちんと読んでみようと思った。彼の作品はちょっと理詰めなイメージがあって『ガイア』くらいしか読んでいないのだが、知性化シリーズもなかなか面白そうだった。
また『エンダーのゲーム』の続編『死者の代弁者』は未読なのだが、これも読んでみようと思った。『終りなき戦い』は現在読んでいる途中である。