『パーンの竜騎士(8) ― 竜の挑戦』(上)

 未開だった南ノ大陸で「アイヴァス」が見付けられる。2500年前の歴史が明らかになり、人々は自分達の暮らしを大きく変えるであろう「アイヴァス」に驚愕する。しかも長年パーンの人々を苦しめてきた糸胞を根絶できる可能性があるという。竜騎士達は一致団結して糸胞の根絶にあたる決意をする。竪琴師ノ長ロビントンや師補ピイマァ、竜騎士フ‐ラルやレサ、ジャクソム等は「アイヴァス」からより多くを学ぼうとし、各工舎も過去の知識を得て大きな恩恵を受ける。しかし「アイヴァス」を「忌わしいもの」と呼び快く思わない人々もいて、「アイヴァス」は何者かに襲撃される。


 どうしても4年間という短期間で、糸胞を根絶するための準備をそこまでするのは無理だろうという気はするが、作者自身もそれは認めていて、ストーリーテーリング上それもやむなしとしているので、きっとそれでいいんだろう。それと、いくら「アイヴァス」が優秀という設定であってもそこまで機能はしないだろうとか、2500年も物理的に無事な状態でいるのは劣化もするしさすがに無理だろうとかいろいろ疑問に思うところはある。が、きっとそれにも目をつむるべきなんだろう(笑)。
 

 しかし一番の問題点は、せっかく竜のいる独特の世界と独特の古めかしい言葉でこの世界のイメージがを確立されているのに、普通の呼び方をしてしまうことによってその世界観を壊してしまうことだと思う。馬はこの世界では「早駆け獣」だし、ガラスは「玻璃」なのである。パーンの世界は中世の世界だからこそいいのであって、文明が進んでしまってはどうしてもつまらなくなってしまうと思うんだけど。


 とはいえ糸胞との戦いにけりをつけ、このシリーズを集結させるには、こういう思いきった手を使わないと集結しないんだろうし、外伝とのからみも出てくるのでこういった展開でも仕方がないのかも。最後に竜と竜騎士達がどういった活躍をするのかを、下巻に期待したい。