『天冥の標1 メニー・メニー・シープ』(上・下)
ようやく『天冥の標』全17巻を読了。結局全巻を読み直し、さらに疑問があった部分をあちこち読み返した。10年かけた大作だけあって、読み応えがあった。間違いなく傑作だ。感想というか、まずはあらすじをまとめていたのだけれど、時間がかかりそうなので少しずつアップすることに。
『天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ』
- 著者:小川一水
- 出版:早川書房
- ISBN:9784150309688
- お気に入り度:★★★★★
西暦2803年、植民星メニー・メニー・シープは入植300周年を迎えようとしていた。しかし臨時総督のユレイン三世は、地中深くに眠る植民船シェパード号の発電炉不調を理由に、植民地全域に配電制限などの弾圧を加えつつあった。そんな状況下、セナーセー市の医師カドムは、“海の一統”のアクリラから緊急の要請を受ける。街に謎の疫病が蔓延しているというのだが…小川一水が満を持して放つ全10巻の新シリーズ開幕篇。
カバーより- 著者:小川一水
- 出版:早川書房
- ISBN:9784150309695
- お気に入り度:★★★★★
謎の疫病の感染源は、出自不明の怪物イサリだった。太古から伝わる抗ウイルス薬で感染を食い止めたカドムだったが、臨時総督府にイサリを奪われてしまう。一方、首都オリゲネスの議員エランカもまた、ユレイン三世の圧政に疑問を抱いていた。彼女は自由人の集団“恋人たち”と知りあうが、ユレイン三世はその大規模な弾圧を開始する。新天地を求めて航海に出た“海の一統”のアクリラは、驚愕すべき光景を目にするが…
カバーより当初は、地球からはるか離れた惑星ハーブCの植民地メニー・メニー・シープで始まった物語だった。
西暦2803年、入植から300年が経ち、地球をはじめ他の惑星とも交流の無いメニー・メニー・シープでは、民主主義も機能しておらず、臨時総督ユレイン三世の課す配電制限や窒素制限がますます厳しくなり、民衆はあえいでいた。
医師のカドム・セアキと《
ユレインは、植民地へ電気を供給するシェパード号の発電炉や天候を左右する蒸散塔、
《
ユレインの圧政に議員エランカが立ち上がり、カドムも政治活動に巻き込まれていった。ますますひどくなる配電制限に、《
共意識で仲間と感覚を共有する
軍警と市民が衝突する中、カドムとアクリラ一行はユレインの住むフォートピークへ侵入し、配電制限をやめるよう要求する。しかし、メニー・メニー・シープは実は植民地の人々が思っていた姿と大きく異なっていた。竪穴から《
『天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ』は、こうした希望を全く持てない状況で終了していた。粘り強い医師のカドム、金髪で細身の美しく元気の良い少年アクリラを筆頭に、怪物のイサリ、
さらに、ラストで六つの勢力について語られていた。
かつて六つの勢力があった。それらは「
医師団 」「宇宙軍 」「恋人 」「亡霊 」「石工 」「議会 」からなり、「救世群 」に抗した。「救世群 」は深く恨んで隠れた。時は流れ、植民地が始まった――。
この後、それぞれの勢力の物語が徐々に語られていく。物語は多岐にわたりそうである。