スキャンした本をiPhoneで読もう

 2012年のトピックスは、3月頃にスキャナと断裁機を購入したことでした。これで本をデータ化し、iPodTouchやiPhoneで読みはじめました。結果として、本を読むスピードは速くなった気がします。これは、通勤の途中でうっかり本を読み終わり、次に読む本が無いという不測の事態がなくなったためです。iPhoneなら何冊もの本が持ち歩けますからね。


 ちなみに、使っているアプリは「bReader」(https://itunes.apple.com/jp/app/breader-qing-kong-wen-ku/id411884081?mt=8)です。これは、スキャンした本をiPhoneで読むならこれ以外には考えられないほどの神アプリです。


 「bReader」が画期的なのは、文字の大きさを変えると、画面の天地にあわせて文章がちゃんと改行されるからです。小さな画面でも、いちいち画面を上や下へ行ったり来たりさせなくていいんです。これはかなり重要なポイントです。もちろん、行間も変えることができるし、ルビもほぼきちんとふられています。おまけに二段組みの本にも対応しています。なんと素晴らしい。


 このアプリはどうも、スキャンした本文を脅迫状(?)*1のように一文字一文字組み合わせる処理をしているようです。だから検索はできませんが、解析間違いはほとんどありません。ただ、横書きには現在対応していないので、表などが多いとちょっとつらいですが、スキャンした元の画像にも切り替えて読むことができます。


 データの作り方も簡単です。本を裁断し、それをJPEGまたはPNG形式でスキャン。これをZIP圧縮し、開発者が無料で提供している「brc」というツールにドラッグ&ドロップして、処理が終わるのを待つだけです。


 もっとも、プロ仕様の道具が揃っているということもあり、私の場合は実はかなりの時間をかけて画像を加工しています。本文は紙を白くして汚れを取り、画像のピクセルサイズを揃え(大きさがガタガタしていると気持ち悪いので)、ページの順番が狂っていないかどうかなどを確認します。カバーはフラットベッドのスキャナーで読み込み、色が剥げたところや陽に褪せた部分は塗り直し、折り目の位置で切り分けます。表紙などは、きれいにスキャンした同じ紙に、印刷された部分だけ合成したりもします。ああ、きれい。ちょっとやりすぎな気もしますが、まぁそれ自体が楽しかったりもします。おかげで加工に時間を割きすぎて、感想文を書く時間が減ってます…。


 ここ1年程で電子書籍もずいぶん普及してきましたが、まだまだ過渡期。うちのように、絶版となったマイナーな古い本が本棚を占拠しているけれど捨てたくない、といった場合、自分でスキャンしてデータ化するのはかなり有効です。それに新しい本でも、読みたい本が電子書籍で出版されていなかったり、もう本で読んだ後に電子書籍で出版されたりすると、自分で電子書籍化する方がいいやってことになります。


 メリットもいろいろとあります。古本でも処理してしまえばイヤな臭いがしない、通勤電車が節電で暗くても読みやすい、小さい文字*2でも拡大して読める、ハードカバーやぶ厚い本*3でも軽いしかさばらない(バッグを小さいものに変えました)、目的の本がどこにあるか探しやすい、何より家が広くなる、などです。金銭的にも、壁一面に本棚をしつらえたり、トランクルームを借りたりするよりは、自炊機器一式を揃える方が安いです。逆にデメリットは、本を他人に貸せなくなるということでしょうか。


 現在230冊くらいをデータ化したところです。残りは、あと1000冊くらい? 実家から古い本や漫画を引き取って来たし、会社にも読み終わった本がダンボールに詰めてこっそり置いてあったりします。まだまだ先は長いです(笑)。

*1:脅迫状を見たことは無いですが(笑)

*2:指輪物語』の追補篇とか

*3:アリステア・レナルズ作全般、京極夏彦百鬼夜行シリーズ、笠井潔作『哲学者の密室』など