『天冥の標II 救世群』

あらすじ

西暦201X年、謎の疫病発生との報に、国立感染症研究所の児玉圭伍と矢来華奈子は、ミクロネシアの島国パラオへと向かう。そこで二人が目にしたのは、肌が赤く爛れ、目の周りに黒斑をもつリゾート客たちの無残な姿だった。圭伍らの懸命な治療にもかかわらず次々に息絶えていく感染者たち。感染源も不明なまま、事態は世界的なパンデミックへと拡大、人類の運命を大きく変えていく――すべての発端を描くシリーズ第2巻

カバーより

 一転して、2巻目は現代とたいして変わらない近未来を舞台としたパンデミックSF。タイトル通り、「救世群ラクティス」の成り立ちの物語だ。とすると、前巻ラストの6+1の勢力が1巻ずつ語られ、残りの3巻で全体像が語られるのだろうか?


 致死率の高い伝染病がパラオの島で発生した。最初に発生したニハイの村では、ジョプ以外の全員が死亡した。どうやらその感染源は6本脚の小動物クトコトだった。生き残ったジョプの移動につれて他の島でも伝染病が発生する。アウトブレイクの知らせを受け、医師の児玉圭伍と矢来華奈子はプーロッソル島へ向かった。二人はこの伝染病が他の地域へ広まることを防ぐために奮闘する。


 このウィルス性疾患は、《冥王斑》と名付けられた。感染者の多くは亡くなったが、少数ながら回復する人々もいた。日本人の高校生檜沢千茅あいざわちかやもその一人。しかし、回復してもウィルスを保有し続け他の人に感染してしまうため、彼らは隔離された。千茅はやがてそのコミュニティで中心的な役割を占めていく。


 1巻との落差がすごい。これが28世紀までどうつながるものなのか。千茅と青葉の友情が印象的。