『啓示空間』

あらすじ

その内側には「啓示空間」があり、脅威の科学技術が隠されているといわれる謎の空間シュラウドからただ一人帰還したダン・シルベステは、リサーガム星で異星種族の遺跡を発掘中、その滅亡の原因を解く鍵として、中性子星ハデスを指し示す手がかりを得るが……99万年前の異星種族絶滅の謎、巨大ラム・シップ内の暗闘、中性子星に隠された秘密などを背景に、人類の存亡をかけた戦いをグランドスケールで描く迫真の宇宙SF!

カバーより

 本屋で平積みされているのを見て買いかけたが、横から見てその分厚さに思わず元に戻した一冊。測ってみると厚さは約40mm!長篇なのは読みなれているから問題ないのだけれど、読書するのは主に通勤の電車の中でなので、ここまで分厚いのはちょっと(笑)。重いし。できれば適当な厚さのところで分冊してもらいたい。とはいえ、評判を見ているとなかなか良さげだったので、次に出た『カズム・シティ』と併せて購入してみた。


 異星種族アマランティン族が99万年前に突如滅んでしまった謎を探るために、リサーガム星で遺跡を発掘しているシルベステ。そのシルベステを探して、古代の巨大な軍艦に乗り込む危険な一味がリサーガム星を目指していた。その船内には不思議な病に侵された船長が冷凍睡眠によって病気の進行を遅らせていた。彼の治療ができるのは、シルベステただ一人。さらにその船には、謎に包まれた〈マドモワゼル〉に雇われた暗殺者クーリが乗り込んできて、シルベステを暗殺する機会をうかがっていた。


 分厚いが、要約するとこんな感じ。内容自体はなかなか面白い。スケールも大きいし、古代に滅んだアマラティン族と、それ以前に栄えていた〈抑制者インヒビター〉の謎が絡んで来て、興味をそそられる。


 それにしてもこのアニメを意識したつくりは何とかならないものか。冒頭の人物紹介のイラストと言い、登場人物達の喋り方と言い。イラストは見ずに済ませることができるからまだしも、喋り口調はどうしようもない。アニメのキャラを見ながら耳で聞く分には気にならないのかもしれないが、それが活字になっていると辟易する。カルビンが鬼太郎の親父のような喋り方でないだけでもずいぶん印象が違っただろうに。


 全体を通して、男性向けに書かれている印象が強い。父親との葛藤とか、バイオレンスや武器・兵器類への執着具合とか。私には不要なものなので、すっかり読み飛ばしてしまっているが、興味のある人にはとても面白いのだろう。