『90年代SF傑作選』(下)

 買っておいたものの読んでなかった一冊。今回イーガンの「ルミナス」を読みたくなったので、下巻を読み終えた。改めて著者を見ると、上巻も下巻もなかなかの顔ぶれが勢ぞろいしている豪華な選集だ。読んでいなくても上巻も並べているのは、装丁がセットでデザインされているから。やはりここは並べて飾りたい。


 目当ての「ルミナス」は、『宇宙消失』調ハードボイルド風味のある、観察することで世界が確定するという数学的SF(たぶん)。『万物理論』もそうだったけど、イーガンはこのネタが好きなようだ。他の作品の中ではテリー・ビッスン作の「マックたち」が面白かった。インタビューの返答を追っていくことで次第に謎が解けていくという凝った構成は秀逸。