『くらのかみ』

あらすじ

「四人ゲーム」。まっくらな部屋の四隅に四人の人間が立ち、肩を順番に叩きながら部屋をぐるぐる回るゲームだ。とうぜん四人では成立しないはずのゲームを始めたところ、忽然と五人目が出現した!でもみんな最初からいたとしか思えない顔ぶればかり。――行者に祟られ座敷童子に守られているという古い豪壮な屋敷に、後継者選びのため親族一同が呼び集められたのだが、跡継ぎの資格をもつ者の食事にのみ毒が入れられる事件や、さまざまな怪異が続出。謎を解くべく急遽、少年探偵団が結成された。もちろんメンバーの中には座敷童子も紛れ込んでいるのだが…

カバーより

 子供の頃、『コロボックルシリーズ』をはじめとする佐藤さとる氏の童話がとても好きだった。彼の作品の挿し絵は、いつも村上勉氏で、作品のイメージとも合っていて、とても好きだった。童話を読む機会もなくなり、しばらくこの独特の絵にもお目にかかっていなかったが、久々に本屋で懐かしい彼の絵の表紙の本を見つけた。「かつて子供だったあなたと少年少女のための“ミステリーランド”」とうたって新創刊されたシリーズの、第一回目の配本である。シリーズに予定されている作家陣はいずれも著名なミステリー作家で、童話とはいえなかなか本格的なミステリーシリーズとなりそうだ。かつて子供だった私が図書館で見かけたら大喜びしそうなシリーズだ。また装丁も凝っていて、なかなかよくできている。



 4人の子供が遊んでいると、いつの間にか一人増えていた。誰がそれまでいなかった子供なのかわからない。子供達はいとこどうしで、本家の跡取りを決める家族会議で集まった大人に連れられて、田舎の古い家に泊まりこんでいた。そんな中、ちょっとした事故が相次いで起こる。子供達は誰かが悪意を持ってやったことかもしれないと、捜査を開始する。


 田舎の旧家はだだっぴろくて薄暗く、また跡取りを決めるための慣わしや、それにもかかわらず成り立たないたたりの言い伝えなどがあり、薄気味悪さを盛り上げている。


 子供向けのせいか、名前などもあだ名で処理するなど無理なくわかりやすくなっている。ファンタジーの部分とミステリーの部分もうまく融合出来ていて、バランスが良い。